女子マンガの手帖

女子マンガ研究家・小田真琴のブログです。主に素晴らしいマンガを褒め称えます。

「ダ・ヴィンチ」7月号「2013 上半期 BOOK OF THE YEAR」

もう上半期ですか。早いものです。こちらに投票しました。



が、なんと! わたしが票を投じた作品でランクインしたのは「男性誌マンガランキング」の『重版出来!』1作品のみ! さんざん書いておきながら! なんということでしょう!

まあいいんですけど。

ちなみに『坂本ですが?』は本当につまらないのでまったくオススメできません。どこで笑えばいいのかどなたかご教授いただけませんでしょうか? わたくしが投票したのは以下の10作品+αです。


【女性誌マンガランキング】

1位:ひきだしにテラリウム 九井諒子 エンターブレイン

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム

無尽蔵のアイデアに舌を巻く。短いページをフル活用する語りのテクニックもお見事。完璧なショートショート

2位:町でうわさの天狗の子 岩本ナオ 小学館

町でうわさの天狗の子 10 (フラワーコミックスアルファ)

町でうわさの天狗の子 10 (フラワーコミックスアルファ)

急展開の中でも損なわれることのない世界観と加速するスリル。岩本先生の才能を計り損ねていた。これは天才の業。

3位:秘密 -トップ・シークレット- 清水玲子 白泉社

秘密 12―トップ・シークレット (ジェッツコミックス)

秘密 12―トップ・シークレット (ジェッツコミックス)

祝完結。すべてにおいて絶頂期にある作家の最高傑作。

4位:王妃マルゴ 萩尾望都 集英社

王妃マルゴ volume 1 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ volume 1 (愛蔵版コミックス)

さすがの貫禄。死にゆく男たちと生き抜く女たちとのコントラストが見事。

5位:かぶき伊佐 紗久楽さわ エンターブレイン

かぶき伊左 弐 (ビームコミックス)

かぶき伊左 弐 (ビームコミックス)

少女マンガと江戸時代の完璧なマリアージュ。いまいちばん応援したい作家。

次点:


【男性誌マンガランキング】

1位:ヴォイニッチホテル 道満晴明 秋田書店

ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

圧倒的な奇想と、ミステリーと、ユーモアと、すべてがごった煮となった中に通奏低音として響く切なさ。

2位:ママゴト 松田洋子 エンターブレイン

ママゴト 3 (ビームコミックス)

ママゴト 3 (ビームコミックス)

世にも美しい場末のファンタジー。稀代のラブリーキャラ・タイジの健気さに泣かざるを得ない。

3位:重版出来! 松田奈緒子 小学館

重版出来! 1 (ビッグコミックス)

重版出来! 1 (ビッグコミックス)

こんな松田先生を待っていた! 『レタスバーガー〜』に続く名作誕生の予感。炸裂する松田先生のマンガ愛。

4位:地上の記憶 白山宣之 双葉社

地上の記憶 (アクションコミックス)

地上の記憶 (アクションコミックス)

小津的な世界をマンガで表現しきった「陽子のいる風景」「ちひろ」が出色。昨年夭折した作家の遺作集。

5位:三文未来の家庭訪問 庄司創 講談社

三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)

三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)

SFの中でこそ際立つ義理と人情と愛。『勇者ヴォグ・ランバ』も良かったが、こちらの方が好み。

次点:


それにしてもたとえば「女性誌マンガランキング」にしたって、ベスト3中2作品が『このマンガがすごい!2013』と重複してるってのはマズいんじゃないでしょうか。この半年間はそんなにも不作でしたか? 良くも悪くも書店員さんっぽいランキングだなと思いました。