女子マンガの手帖

女子マンガ研究家・小田真琴のブログです。主に素晴らしいマンガを褒め称えます。

「SPUR」3月号「マンガの中の私たち」第2回とオリンピック

オリンピックで寝不足です。とりあえずは仕事を持つ一社会人として業務に支障を来さぬよう、フィギュアの団体は流すつもりでいました。が、見始めると止まらない。「やっぱりボロトラは観たいよね」とか言って結局4時まで起きてしまっていたり、「真央ちゃんだけははずせない」とか言って3時まで起きてしまっていたり、おかげで途端に寝不足です。そしてあまり期待していなかったフィギュア団体がけっこう面白かったという誤算。たしかに前半=ショートの点のウェイトが高すぎるというレギュレーションの問題はありますが、ちょっと調整すればさらに面白くなるのではないでしょうか。

さて、「SPUR」です。



今回は、遂に完結! 岩本ナオ先生の『町でうわさの天狗の子』をご紹介しました。



ラストも素晴らしかったですね。間違いなく少女マンガ史上に残る大傑作です。

最終巻で際立ったのはやはり瞬ちゃんの「孤独」でありました。私は瞬ちゃんの2つの孤独を思います。1つには秋姫が天狗道に落ちてから、パラレルワールドとして分岐した「秋姫のいない世界」で生きる瞬ちゃんの孤独。そしてもう1つには、天狗となることを放棄した秋姫が普通の人間として天寿を全うした後の、天狗となって長生きしてしまう瞬ちゃんの孤独であります。

その出自からして、本作では一貫して瞬ちゃんに「孤独」の影がつきまといます。それは最終巻でも変わることはなかったわけですが、しかし1つだけ変わったことと言えば、瞬ちゃん自らが秋姫と一緒にいたいと、孤独から抜け出す意志を強く表明したことです。

ああ思い出すだけで泣ける…。未読の方はぜひ大人買いを。前半の緩いグルーヴ、10巻での急展開、怒涛のラスト。こんなにも盛りだくさんな少女マンガを、わたしは知りません。