女子マンガの手帖

女子マンガ研究家・小田真琴のブログです。主に素晴らしいマンガを褒め称えます。

「婦人画報」4〜6月号をまとめてドン

主にこのブログはわたしだって仕事してるんですよ!とアピールするために書いているものなのですが、どうやらそれだけではモチベーションとしては弱いようで、なかなか継続して書けません。そもそも一般読者の方にはあんまり有用な情報でもありませんで、どうか雑誌やWebをご覧いただければと思うばかりであります。

そんなこんなで溜まってしまったお仕事の告知ですが、この間に「婦人画報」は3冊も刊行されてしまいました。4月号(3月1日発売)では萩尾望都先生の『王妃マルゴ』(集英社)をご紹介しました。



萩尾先生の「軽さ」が最大限に生きている作品だと思います。時代考証の細やかさも素晴らしく、特に衣装に関してはかなりこだわっていらっしゃる様子。細かいところでは「病気」の描写も効いてますよね。身体のささやかな不快感、違和感から、死に至る病までは地続きである様が、自然にさらりと描かれています。ああ、当時はこういう感じだったのだろうなあ、という説得力があります。


王妃マルゴ volume 1 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ volume 1 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 2 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 2 (愛蔵版コミックス)


5月号(4月1日発売)では小川彌生先生の『銀盤騎士』(講談社)をご紹介しました。



フィギュアスケート世界選手権の熱が冷めないうちに…!と。おもしろいのはもちろんのこと、さすが筋金入りのスケヲタである小川先生、演技シーンの描写が正確かつ美しいのです。さりげない体の使い方や、ジャンプの準備動作まで、いちばん美しい瞬間を見事に切り出しています。スケヲタのみなさんはもちろんのこと、多くの人に読んでいただきたいラブコメです。


銀盤騎士(1) (KC KISS)

銀盤騎士(1) (KC KISS)

銀盤騎士(2) (KC KISS)

銀盤騎士(2) (KC KISS)

銀盤騎士(3) (KC KISS)

銀盤騎士(3) (KC KISS)


余談ですがマンガにも登場する4Lz、すでにけっこう実戦段階の技術になりつつあります。こちら↓はリッポン。



来シーズンあたりは何人か挑戦してくるんじゃないでしょうか。

で、現在発売中の6月号では逢坂みえこ先生の『プロチチ』(講談社)をご紹介しています。



ちょうど完結巻となる4巻が出たばかりです。さまざまな要素のある本作ですが、どこを読んでも逢坂先生の優しい眼差しに心打たれます。アスペルガー症候群の描写も、さぞかし丁寧に取材してお描きになったのだろうなあ、というリアリティ。生きることの多様性が、さまざまなキャラクターを通じてしなやかに描かれています。全人類必読ですよ。


プロチチ(1) (イブニングKC)

プロチチ(1) (イブニングKC)

プロチチ(2) (イブニングKC)

プロチチ(2) (イブニングKC)

プロチチ(3) (イブニングKC)

プロチチ(3) (イブニングKC)

プロチチ(4)<完> (イブニングKC)

プロチチ(4)<完> (イブニングKC)


マンガとは縁遠そうな「婦人画報」読者のみなさんに、少しでも多くのマンガをお読みいただけたら幸いであります。


婦人画報 2014年 04月号

婦人画報 2014年 04月号