女子マンガの手帖

女子マンガ研究家・小田真琴のブログです。主に素晴らしいマンガを褒め称えます。

「ダ・ヴィンチ」1月号と『このマンガがすごい!2014』

やっとリアルタイムに追いついた…。年末恒例のこちらの2冊。


このマンガがすごい! 2014

このマンガがすごい! 2014


ダ・ヴィンチ」では毎年恒例の「本読みが選ぶ、『とっておき』の今年の3冊」をセレクトしています。今年は伊藤剛さん、藤本由香里さんとそれぞれ1冊ずつかぶってしまいました。せっかくだから別の本を挙げればよかったですよ。できるだけ多くの本を紹介したいのです。『逃げるは〜』とどちらにしようか迷っていたのが『とりかえ・ばや』で、そしてコメントによると藤本さんもやはり『とりかえ・ばや』を入れるかどうかで迷っていたようで、ああこっちにすればよかったと後悔。

別冊付録の「別ダ」にもちょろっと登場しています。コミックエッセイに関する座談会です。南信長さん、ヤマダトモコさん、門倉紫麻さんという偉大なる諸先輩方の片隅でおとなしくしています。いや座談会なんだからおとなしくしてちゃダメだろ。こちらでもちょろっと読めます。

このマンガがすごい!2014』は明日発売です。1位に関してはノーコメントで! まだじっくりとは読んでいないのですが、後半の「各界のマンガ好きが選ぶ〜」で誰がどのマンガを推しているのかを見るのが毎年楽しみです。この人とは気が合いそうだな〜とか、この人とは仲良くなれないな!とか、勝手に思う年の瀬であります。

その他最近のお仕事 〜「週刊ザテレビジョン」「ar」「FRaU」〜

なんでこんなに溜めてしまったのか…。すみません、とっくに書店からは姿を消してしまいましたが、「週刊ザテレビジョン」で、映像化される『失恋ショコラティエ』と『ホットロード』に関してちょこっとだけコメントしました。



このお仕事がきっかけで何十年かぶりに『ホットロード』を読み返したのですが、お母さんが不憫でなりませんでした。加齢によって読み方も変わるものですな。


「雌ガール」でおなじみの「ar」12月号では「女子マンガとセクシー」に関してコラムを書きました。



これはまだ書店に並んでますよね? ぎりぎりセーフか。完全に趣味に走ったセレクトをしていますが、『海の天辺』の山崎先生はほんとまじセクシーでかっこいい女性だと思います。



FRaU」12月号ではデリとかを紹介しています。また食い物か! そんな調子で食べ続けていたらけっこうな太ましい体になってしまったもので、現在ダイエット中です。豆腐ダイエット。朝と昼は普通に食べるのですが、夕食は豆腐のみ。外食は週に一度だけならOK。冷奴へのトッピング、および湯豆腐への野菜の追加は可とします。おかげで1か月半で11kgも痩せましたよ! ダイエット関係のお仕事もお待ちしていますw

「SPUR」1月号でなぜかレストランをオススメしています。

で、1回お休みとなった1月号では、なぜかオススメのレストランを紹介しています。



何店か候補に挙げたのですが、諸事情によりこちらに決定いたしました。



タルト・フランベはなんというかピザのようなアルザス料理でして、ピザほどの華やかさはないのですが、素朴でおいしいんですよ。玉ねぎとベーコンはもっともオーソドックスなトッピングでして、生地にはフロマージュ・ブランを塗ります。「ジョンティ」のタルト・フランベはまじおいしいので、機会がございましたらぜひお召し上がりください。最近だと代官山の「Äta」でも見かけましたね、タルト・フランベ。こちらはエビと何かがトッピングされていたような気がします。

今年いちばんのオススメはホントは築地の「歩歩路」でした。気軽にヌーベルシノワがいただけるいいお店です。シェフは「トゥーランドット」出身。コースは5000円からで、料理は季節によって変わります。先日いただいたサケとイクラのチャーハンもおいしかった〜。



デザートのケーファー茶のプリンとプーアル茶のゼリーがまた絶品でして。



とか書いてるうちにまた行きたくなってきてしまいましたぜ…。

「SPUR」12月号 「マンガの中の◯◯男子図鑑」第11回

怠慢ぶっこいてたらもう年末ですわ。すでに書店からは姿を消してしまいましたが、「SPUR」12月号の「マンガの中の◯◯男子図鑑」は一応最終回でした。1号お休みして2月号から新連載が始まります。



『アヤメくん〜』面白いっすよなー。前作『はしっこの恋』もそうでしたけど、町先生には独特のゆるいグルーヴ感があって、読めば読むほどハマってしまいます。フィーヤン系ではいまいちばん好きな作家さんです。


脳内ポイズンベリー 1 (クイーンズコミックス)

脳内ポイズンベリー 1 (クイーンズコミックス)

「SPUR」11月号 「マンガの中の◯◯男子」第10回「なぜモラトリアム男子は年下女子にモテるのか?」

またボケボケしていると次号が出てしまう…。



唐突に秋めいてまいりまして、今日の銀座はどこもかしこも買い物客で賑わっておりました。そろそろ秋冬ものでも買おうかしら…というあなたにオススメしたい「SPUR」11月号であります(宣伝)。



今回は「なぜモラトリアム男子は年下女子にモテるのか?」と題しまして、こちらの2冊を紹介しています。


屋上の君 (KCx)

屋上の君 (KCx)

ツヅキくんと犬部のこと(上)

ツヅキくんと犬部のこと(上)


瀬川先生は、『PIVO!』もそうでしたけど、まさに成長の途上にある子どもを描くのが本当にお上手です。それと『ツヅキくん〜』、こういう表現は語弊があるとは想いますが、マジョリティ寄りの衿沢先生が私はとても好きです。

そもそもこのテーマは少女マンガに見られる「オッサンと幼女」図像から発想されたものです。近年では『うさぎドロップ』がそうですよね(ある知人はりんが女子高生になった途端にさっぱり興味を失っていました。ひどい…)。古くは大和和紀先生の『杏奈と祭りばやし』。この作品、以前は『はいからさんが通る』の番外編をまとめた1冊に収録されていたのですが、今はどこで読めるのでしょうか。号泣必至の名作ですので、機会があればぜひ。

そろそろ年末のランキングものの季節です。今年の少女マンガ界は、昨年の『俺物語!!』のようなわかりやすい台風の目玉がなく、さっぱり予想ができません。しかしまあ結果の如何は別として、ランキングものによってたくさんの作品が一般向けに紹介されることこそ大事だと思うわけです。

「SPUR」10月号 「マンガの中の◯◯男子」第9回とおもたせ特集

ボケボケしている間に11月号が届いてしまいました。ぐげげげげげ。しかしとりあえずは10月号のお話を。




「マンガの中の◯◯男子」第10回では「軍服女子と部下男子は宿命の恋に落ちるのだ」と題しまして、久世番子先生の『パレス・メイヂ』と『ベルばら』を紹介しています。



パレス・メイヂ 1 (花とゆめCOMICS)

パレス・メイヂ 1 (花とゆめCOMICS)


と書いたところでけっこう大きな地震が来ました。みなさん大丈夫だったでしょうか。

久世先生には最近作からしてエッセイコミック作家の印象をお持ちの方も多いと思うのですが、ストーリーマンガもそれはそれは素晴らしいものです。かわかみじゅんこ先生や伊藤理佐先生と同じく、久世先生もまたエッセイとストーリーを見事に描き分けることのできる作家さんであったのです。本作は2013年のベスト10には確実に入るであろう良作です。ぜひお読みください。

また同号ではおもたせ特集にもちょろっと登場しています。



パンとかお菓子が大好きでして…。今回は近ごろ話題の食パン専門パン屋さん「CENTRE」(東京都中央区銀座1-2-1 東京高速道路紺屋ビル1F)の角食パンを紹介しました。こちらは日本一おいしいバゲットを作るブーランジェリー「VIRON」の系列店になりまして、バゲットから一転、食パンのみで勝負するという一風変わったお店です。この食パンがまたおいしいんですわ。強い甘みと豊かな粉の風味、食感は異次元のやわらかさで、たとえばボルディエやエシレなどのおいしい有塩バター(もちろん室温に戻してやわらかくしてから)をつけたり、フェルベールやミオなどのおいしいコンフィチュールをつけたりして食べるとそれはそれはもうたまらんおいしさです。

イートインではおいしいサンドイッチなどをいただくことができます。イチオシはチーズトースト。こんな感じのプレゼンテーション含めてお楽しみください。

夜は夜でVIRONのパンやシャルキュトリが食べ放題になるコースが超楽しいです。銀座一丁目から徒歩1分、有楽町や京橋からも近いので、お買い物のついでにぜひお立ち寄りくださいませ。

「FRaU」9月号「女子マンガ大賞」でべらべら喋っています。

久々の「FRaU」です。



そもそもわたしの「女子マンガ研究家」という肩書は当時「FRaU」編集部にいらっしゃったS井さん(今は異動なさってしまいました)がつけてくださったもので、また初めて原稿を書いたのも「FRaU」でありました。お世話になっております。



さらりと顔出ししておりますが、どうぞあまり気になさらず。実はオッサンですみません。ちなみにわたしの「女子マンガ大賞」候補作はこの5作品+1作品でした。


雲田はるこ昭和元禄落語心中』(講談社) 

昭和元禄落語心中(4) (KCx)

昭和元禄落語心中(4) (KCx)

4巻の「死神」のシーンは痺れた。高値安定。いまいちばんおもしろいマンガ。手塚治虫文化賞獲って欲しかった。


岩本ナオ町でうわさの天狗の子』(小学館) 

10巻での急展開にも崩れない世界観と、見事に回収されゆく伏線。ほのぼの面白いだけじゃない、骨太な女子マンガ。


鳥飼茜『おはようおかえり』(講談社) 

見事な構成美と突き刺さるネーム。「時間」がテーマということであれば、このマンガの時間の感覚はとても美しい。一瞬の美しさ。『おんなのいえ』も超面白い。


東村アキコ『かくかくしかじか』(集英社) 

かくかくしかじか 2

かくかくしかじか 2

NANA」のパロディかと思いきや、笑えつつも泣ける非常に上質な自伝マンガだった。「後悔」という感情の普遍性。胸に迫る。


鴨居まさね君の天井は僕の床』(集英社) 

君の天井は僕の床 3 (クイーンズコミックス)

君の天井は僕の床 3 (クイーンズコミックス)

40代女子を真正面から描いた女子マンガの最先端。自らの死すらも射程に捉える時間感覚は40代ならでは。全女子必読。


【番外編】九井諒子『ひきだしにテラリウム』(イースト・プレス

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム

女子マンガとはいえないけど、ここ最近の最大の成果。


「時間」をテーマに選びました。年輪を重ねた大人の女性が読む「女子マンガ」の本質は、現在を基点として前後に伸びる時間軸にあると考えるからです。少女マンガは概ね一方通行、未来へ向けて描かれますが(ゴールとしての恋の成就など)、女子マンガにはむしろ過去を重視した重層的な時間感覚が存在するように思います。また、最近の勢い、というよりもここ数年の「女子マンガ」を代表する作品を挙げたつもりです。

で、大賞は『にこたま』でした。これは絶妙なチョイスでありましょう。


にこたま(5) <完> (モーニング KC)

にこたま(5) <完> (モーニング KC)


自分のまわりのマンガ好きはたいてい夢中になっていた『にこたま』でしたが、セールス的にはおそらく伸び悩んでいるのではと推察します。とりたててマンガが好きでない人々にも読んで欲しいと、審査員全員で願った結果としての選出でありました。

ほか座談会に登場した作品で、著しくオススメしたいのはコチラ。


10DANCE 1 (バンブー・コミックス  麗人セレクション)

10DANCE 1 (バンブー・コミックス 麗人セレクション)


BLが苦手で常々そのことに劣等感を覚えるわたし(オッサン)でも、これはかなり楽しく読ませていただきました。わたしと同じくBLに苦手意識がある方にもぜひオススメしたいです。

ほか雲田先生と田中相先生の対談が超興味深いです。こちらもぜひぜひ。なお、選考会のダイジェストはこちらで試し読みできます。