「SPUR」4月号「マンガの中の私たち」第3回とか?
2月20日、所用で岡山へと向かうわたしの、新幹線の車中での落ち込みっぷりたらなかったですよ。同行者を不安にさせるほどの落胆と疲労感。なぜかってそりゃ真央ちゃんのSPですよ。想定してた最悪の状況よりもさらにずっと最悪の状況。涙をぐっとこらえながら所用をこなし、「ああ、今夜のFS見たくないなあ…」などと思いながら帰途につきました。そしてあの瞬間がやってきます。
あまりにも早い滑走順は、稀代の天才たる真央ちゃんにはまったくふさわしくないものでした。ただひとつスケートの神様に感謝するとするならば、真央ちゃんが第2グループ最後の滑走者であり、また整氷作業前最後の滑走者であったことです。おかげでわたしたちは思う存分、その圧倒的な演技の余韻に浸ることができたのです。
こちらがFSのプロトコルです。かつて失われた3-3のコンビネーションジャンプは、2つめの3LoにURが刺さりました。続く3Lzはおなじみのエッジエラー(素人にはまったくわかりませんので論評は自重します)。後半最初のジャンプである2A+3Tの2つめのジャンプにもUR。しかしスピンとステップはすべてレベル4を獲得し、そしてなにしろあの怒涛のような感動。わたしがジャッジだったらPCSはすべて10点満点を差し上げたいくらいです。
わたしたちにとって「真央ちゃん」とは一体何者でなのでありましょう。娘なのか、妹なのか、恋人なのか、親戚の子なのか、同級生なのか…どれも微妙にしっくりと来ないのは、やはり「真央ちゃん」は「真央ちゃん」としか言いようのない、特別な存在だからではないでしょうか。あの2日間、わたしたちは確かに真央ちゃんのことを心配したし、心の底から応援したし、そして「本当に良かったねえ!」と号泣しました。そんなに振れ幅の大きい思いや言動を、なかなか人様に向けることもないでしょう。
…と、語りたくなる程度にはフィギュアスケートが好きなわたくしですが、それはさておき「SPUR」4月号です。特にオチもありませんでした。
今月号はすんごい分厚いですよ。「タウンページ」かと思いました。で、わたしの連載「マンガの中の私たち」でご紹介しているのは、まずりん先生の『独身OLのすべて』です。
独身OLのすべて / まずりん - モーニング公式サイト - モアイ
本誌でWebコミックを紹介するのは初めてかもしれません。このマンガ、わたしの周囲ではここ1年ほどずっと大人気だったのですけど、そろそろ紹介するタイミングかと思い、担当編集者のMさんを熱烈に説得して、掲載へとこぎつけました!(恩着せがましい) ちょうど下記サイトにインタビューが掲載されていたので、併せてご覧ください。
まんが家・まずりんさんインタビュー アラサー女性の毒を痛快に描写する『独身OLのすべて』誕生秘話(前編)|ウートピ
『独身OLのすべて』作者「まずりん」に聞く「ウェブのまんが家」の実情(後編)|ウートピ
あとコストナーさんがメダルをとれたのも本当に良かったなあと思いました。では。
Webとフリーペーパーのお仕事と、サロン・デュ・ショコラ2014
その他の最近のお仕事です。
Webマガジン「週刊flier」の「マンガで合宿 漫画ッシュクのすゝめ」という記事で、一気読みに最適な女子マンガ3作をオススメしています。定番っちゃあ定番ですが、『ガラスの仮面』ごっこだけで数時間は楽しめるでしょう(たぶん)。しかしそれにしても近ごろのWebマガジンはレイアウト凝ってますね。楽しげなページにしていただいてうれしかったです。
あとフリーペーパー「GIRLS' TREND」で、イケメンが登場する少女マンガ6作を紹介しています。美容院とかプリクラとかに置いてあるようなので、見つけたらぜひ。
さて、年に一度のチョコ中毒者のための祭典「サロン・デュ・ショコラ」に今年も突撃してきました。アイカード会員は一般の方よりも1日早く入場することができるのですが、わたしはこのためだけにアイカードを持っていると言っても過言ではありません。
以下戦果です。
毎年必ず買うのはパトリック・ロジェとパスカル・ル・ガック。この2つは飛び抜けておいしい。おなじみロジェのドーム。
ル・ガックはもちろんボンボンのアソートも買ったのですが、マカロンも売っていたのが嬉しかった。
ラデュレ/エルメとは違うふかふかとした生地に濃厚なクリーム。キャラメル味がおいしかったです。
ヴァンサン・ゲルレのルリジューズ型のチョコはあまりのかわいさに衝動買い。
こういうセンスはフランス人には敵わんです。
あまり人気はなかったようですが、フレデリック・アヴェッカーのボンボンはとてもおいしかったですよ。
これは「プロヴァンスの雪」をテーマにしたアソート。異次元の軽い食感。こんなに軽いボンボン・ショコラは食べたことがありません。ほかにも紅茶をテーマにしたアソートだとか、個性的なラインナップで興味深かったです。全部買えばよかった…。来年もまた来てくれることを望みます。
さて、明日は高島屋の通販で購入した、ジャック・ジュナンのチョコとパット・ド・フリュイとキャラメルが届くはずなのでした。ここのパット・ド・フリュイはほんとおいしいんですよ。日本橋の高島屋の店頭ではまだ購入できるかもしれないので、見かけたら買っておいてソンはないですよ! パット・ド・フリュイとは思えない贅沢なフレッシュネスは唯一無二です。有楽町のディーン&デルーカが取り扱うかも…みたいな話もありましたが、ショコラとキャラメルはたまに見かけるものの、パット・ド・フリュイはついぞ見たことがありませんね。
「婦人画報」3月号「小田真琴の現代マンガ考」第3回
立て続けに告知で失敬。「婦人画報」の3月号もよろしくお願いいたします。
- 出版社/メーカー: ハースト婦人画報社
- 発売日: 2014/02/01
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連載コラム「小田真琴の現代マンガ考」第3回でご紹介するのは、えすとえむ先生の『IPPO』です。
この記事「流行は漫画のファッションにも現れるのか?「シティーハンター」の場合」が指摘するように、マンガにおいて靴はうやむやにされやすいアイテムであります。『IPPO』の特異性はその点においても際立ちます。
そしてなにしろ靴がかっちょいい。おいしいものが食べたくなるのがよいグルメマンガだとしたら、いい靴が欲しくなってしまう『IPPO』はなんて素晴らしい靴マンガでありましょう。たとえそれが30万円しようとも! ひい。
2巻に入ってグンと面白くなりました。掲載は「ジャンプ改」。男女ともに楽しめることでしょう。眠いので乱文失敬。
- 作者: えすとえむ
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- 作者: えすとえむ
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「SPUR」3月号「マンガの中の私たち」第2回とオリンピック
オリンピックで寝不足です。とりあえずは仕事を持つ一社会人として業務に支障を来さぬよう、フィギュアの団体は流すつもりでいました。が、見始めると止まらない。「やっぱりボロトラは観たいよね」とか言って結局4時まで起きてしまっていたり、「真央ちゃんだけははずせない」とか言って3時まで起きてしまっていたり、おかげで途端に寝不足です。そしてあまり期待していなかったフィギュア団体がけっこう面白かったという誤算。たしかに前半=ショートの点のウェイトが高すぎるというレギュレーションの問題はありますが、ちょっと調整すればさらに面白くなるのではないでしょうか。
さて、「SPUR」です。
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今回は、遂に完結! 岩本ナオ先生の『町でうわさの天狗の子』をご紹介しました。
ラストも素晴らしかったですね。間違いなく少女マンガ史上に残る大傑作です。
最終巻で際立ったのはやはり瞬ちゃんの「孤独」でありました。私は瞬ちゃんの2つの孤独を思います。1つには秋姫が天狗道に落ちてから、パラレルワールドとして分岐した「秋姫のいない世界」で生きる瞬ちゃんの孤独。そしてもう1つには、天狗となることを放棄した秋姫が普通の人間として天寿を全うした後の、天狗となって長生きしてしまう瞬ちゃんの孤独であります。
その出自からして、本作では一貫して瞬ちゃんに「孤独」の影がつきまといます。それは最終巻でも変わることはなかったわけですが、しかし1つだけ変わったことと言えば、瞬ちゃん自らが秋姫と一緒にいたいと、孤独から抜け出す意志を強く表明したことです。
ああ思い出すだけで泣ける…。未読の方はぜひ大人買いを。前半の緩いグルーヴ、10巻での急展開、怒涛のラスト。こんなにも盛りだくさんな少女マンガを、わたしは知りません。
- 作者: 岩本ナオ
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「婦人画報」2月号「小田真琴の現代マンガ考」と「BE・LOVE」2号の『おんなのいえ』
告知しそこねていましたが、「婦人画報」で新連載が始まっています。題して「小田真琴の現代マンガ考」。なんだか偉そうで申し訳ない…。
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第2回でご紹介したのは、「SPUR」に引き続き池辺葵先生の『どぶがわ』です。
しばらくは推し続けます! あらゆる年代の方にお読みいただきたい。
ところで先月号では鳥飼茜先生の『おんなのいえ』をご紹介したのですが、
- 作者: 鳥飼茜
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なんと現在発売中の「BE・LOVE」2号に掲載されている『おんなのいえ』#17に、「婦人画報」を登場させていただいております(笑)。これは嬉しい!
このくだり、とっても面白いのでぜひご覧ください。鳥飼先生、ありがとうございました。
「BE・LOVE」と言えば最近始まった大久保ヒロミ先生の『人は見た目が100パーセント』も大好きです。笑えます。こちらも併せてぜひぜひ。
BE LOVE (ビーラブ) 2014年 1/15号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 講談社
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「SPUR」2月号 新連載「マンガの中の私たち」第1回とクリスマスケーキ
「SPUR」で新連載が始まりました。旧連載「マンガの中の◯◯男子図鑑」では「男子」に焦点を当ててマンガを紹介してきたのですが、新連載「マンガの中の私たち」では「女子」を軸にマンガを紹介していきたいと考えています。引き続きご贔屓に。
第1回のテーマは池辺葵先生の新刊『どぶがわ』です。
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これは本当にすごいマンガです。11月発売の本作は、雑誌や『このマンガがすごい!』などの主なランキングものには惜しくも間に合わなかったのですが、ワタクシ的には今年のベストです。
谷底の臭気漂うどぶがわのほとりに安息の場所を見出した老婆の清貧な日常と、彼女が見る白日夢が本作の主な舞台。白日夢の中の彼女は瀟洒な洋館に住む四人姉妹の長女で、料理上手の家政婦が作るフォアグラのソテーが大好物。しかし一方現実の彼女ときたら、夜ご飯はもやしと豆腐のみ…。
この残酷な描写を池辺先生はその愛らしくも美しい絵でやるものですからたまりません。ほかにもたとえばP75、空想の中の家政婦との出会いのシーンで、浮浪児同然の彼女がもたれかかる大きな箱には、ローマ字で「NAMAGOMI」と書かれています。さりげなくすごいシーンです。
交差する現実と虚構。空想に挿し込まれる現実(カリフォルニア州のフォアグラ禁止法...etc.)。ドライヤーで髪を乾かす一方で、騎士が馬に乗って街中のアスファルトの道を走り、人々はレコードで音楽を聞きます。
光と水のイメージもとても印象的です。太陽の温かな光とヘンデルの「水上の音楽」。五感を刺激する描写はもちろん嗅覚にも鋭く迫ります。ラストシーン、四姉妹が草むらに横たわりにおいに関して語り合うシーンは、老婆の最期が草むらの上であったことを暗示しているのではないでしょうか。
なんという豊かなマンガ世界でしょう。池辺先生は作家としてまたひとつ上のステージに上がって行ったようです。あまりにも素晴らしいので今週金曜日発売の「婦人画報」でも紹介していますが、それはまたのちほど…。
作中に登場するこちらの小説もぜひご併読ください。
- 作者: イサクディーネセン,Isak Dienesen,桝田啓介
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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余談ですが今年のクリスマスケーキはオーボンヴュータンにいたしました。ホワイトチョコのデコレーションがとても美しいのです。
ではでは。